発泡ルアーは「浮力が高い」はある意味間違い!?作りまくって分かった発泡ルアーの秘密

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おはようございます。会長です。

昨年は、3Dプリンターを使ってルアーやメタルジグを作りまくっていましたが、

大型のヒラマサやGT、マグロなどを狙うルアーは流石に3Dプリンターで作ったルアーでは強度が確保できず、今年はABSを削り出したり、硬質発泡ウレタンを使って自作ルアーを作って楽しんでいます。

ここ1ヶ月(5月)に、6種類の発泡ウレタンルアーを作ってみて、実際に魚を釣っても大丈夫な仕様(作り方)にまとまってきたのですが、

実際に作りまくってみると、今まで勘違いしてたことなど、いろいろ発覚しました。

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発泡ルアーは思ったほど浮力は高くない!?

発泡ルアーって、発泡体で出来ているので、浮力が高そうなイメージですが、実際に大量に発泡ルアーを作ってみると、そのイメージが変わりました。

こちら、ラピードの190Fと230Fの間に使えるものが欲しくて、発泡ウレタンで、210mmのスリムペンシルを作ってみました。

発泡ウレタンのルアーといっても、2種類の作り方があって

全体が同じ素材で作る1層式と、内部にコアの低比重の発泡体、外部を強度のある無発泡のウレタンで覆う、2層式の作り方があります。

実際に、中は密度の低い(低比重)のコアで、外部に密度の高いウレタン(ポリウレタン)で覆うことで、強度と浮力を両立させます。

バスやシーバスルアーぐらいでしたら、1層式でもいいのですが、密度の低い発泡体だけでは強度が出せないので、磯で岩に当たるようなルアーやGTやマグロなどを狙う発泡ルアーは2層式が採用されているものが多いです。

実際に、最初にコアを作って、このように型にハメて、外部に密度の高いウレタン樹脂を流して覆います。

こちら、全て同じサイズの発泡ウレタンですが、添加物の調整で、同じ大きさでも配合次第で41g〜7.61gと比重をコントロール可能です。

比重に置き直すと1.03〜0.19になります。

0.19といえば、世界一比重の低い木材のバルサと同じぐらいの比重です。

この0.19の発泡ウレタンだけを使ってルアーを作れば、発泡ルアーは浮力が高いといっても過言ではないのですが、現実的に比重(密度)を低くすると、相対して強度が落ちます。

もっと比重を軽くも出来ますが、別の問題がありますし、爪で押すだけで簡単に凹むほど柔らかいので、それを現実的に使うことはありえません。

話を戻しますと、オフショアで使うような発泡ルアーは、必然的に2層式で強度と浮力を確保することが必要なのですが

外装の肉厚の厚みをどうするかで、強度も全体的な比重も大幅に変わります。

こちらは大型ヒラマサやGTにも使おうとしていますので、肉厚は3mm取っています。

こちらは実験で肉厚2mmにしたものです。

体積を計算しながら、肉厚(強度)とコア(浮力)のバランスを取っていくのですが、

実際に強度を確保して3mmも肉厚を取ろうとすると、全体的な比重は0.53になります。

ちなみにウッドルアーに使われている木材の桧だと比重0.4前後、桐だと0.3前後になりますので、3mmも肉厚をとって強度を確保すると、全体的な比重はそれほど低くないことが分かります。

試しに、肉厚を2.5mmとったものを計算すると全体的な比重は0.48になり、まだ木材よりも比重は高い(重い)です。

肉厚を薄くすれば、ウッド並みに浮力を確保することが可能ですが、オフショアルアーですと現実的ではありません。

最近、ABSを切削機で削り出してルアーも作ってみていますが、やはりABSのほうが、ウレタンよりも強度が確保できるため肉厚を薄くすることが出来ます。

しかも、コアは空気層。リブを作って強度を上げたりしますので、一概に言えませんが、

浮力がないと言われている、プラスチックルアーのほうがよっぽど全体的な比重を低くすることが出来ます。

こちらも実際に使うフックやリングの大きさを考慮して、錘と、肉厚、リブの量で、残浮力を調整します。

この浮いている部分が、残浮力です。これを多く残すと結構動きが機敏になります。

発泡ルアーが浮力が高いと感じているのは、プラスチックルアーに比べて、精密に作れませんので、残浮力を多く取ったものが多いからで

実際に発泡ルアーの浮力(比重)自体は、プラスチックルアーの浮力(比重)と大差ありません。
※それぞれの肉厚によります。

結局のところ、作り手が強度をとるか、浮力をとるか考慮しながら肉厚を設計、変更することによって比重が決まりますので

発泡ルアーが浮力が高い、プラスチックルアーは浮力が低いと言われていることは間違いになります。

発泡ルアー、プラスチックルアー、結局どちらがいいというのもなく、作り手が四苦八苦しながら、設計しているので、どちらとも素晴らしいルアーになっていると思います。

プラスチック(インジェクション)のルアーは射出用の金型が必要なので大きな投資が必要だけど量産が可能、発泡ルアーはシリコン型や簡易金型で可能な為、投資は少ないけど小ロットで製作できるということがあり、どちらかを選んでるだけで、結局のところ会社(メーカー)の規模により、材料が選ばれることが大きいです。

これはウッドルアーも同じことです。

ルアーをいろんな素材で作ってみて分かったことは、どの素材で作られているメーカーの方も「最終的には1つの設計に決めないといけない」。

この「最終決定」が非常に迷い、不安があり、めちゃくちゃ大変なことだと感じます。

個人的に自作しているだけですと、最終決定する必要なく、いろんなバランスのルアーが出来たり、奇跡の1本が出来たり、フックでいろいろ調整したり出来ます。

ただ、発売するとなると、すべてを一つに決めなくてはなりません。

どの素材を使ってルアーを作っているメーカーも、迷い、不安の中で一つに絞る大きな決断をしていますので、素材に関わらず、そのルアービルダーが決断した設計を楽しむと面白いかもしれません。

不安の中、残浮力を大きめにとっているルアーも多分多くあると思いますので、1回使っただけでこのルアーは駄目だ!と思わず、いろいろフックのサイズや重量などで調整して、使い倒せとまではいかないまでも、自分の思い思いのルアーにして使うのがお奨めだと思います♪

 

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伝説会長

ジギング歴22年。マイボートを所有し、週末はオフショアに。福井県在住でメインフィールドは福井県三国沖。対馬・輪島・石垣島・遠州灘・相模湾・海外などに遠征も。伝説会長は20年前のYahooブログのニックネーム

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